一覧へ戻る「境界って、決まってないの?」2026-08-15先日、お客様と土地のお話をしている中で、「土地の境界って、決まってるものじゃないんですか?」と聞かれました。確かにそう思いますよね。土地には地番があって、登記簿には面積も書いてある。さらに、土地を所有していれば固定資産税も納めています。そう考えると、「どこからどこまでが自分の土地なのかも、当然はっきり決まっているはず」と思うのも自然なことだと思います。結論からいうと……土地には「筆界」と呼ばれる公的な境があり、土地が登記された際に定められています。ただし、「現地のどこがその境なのか、はっきり分からない」ということは意外とあります。例えば、「昔からこのブロックがあるから、ここが境界だろう」「ずっとここまで自分の土地として使ってきた」「親からこの土地は○○坪と聞いている」そう思っていても、法務局の資料や現地の状況を確認してみると、認識と違っていることがあります。特に古くからある土地では、相続などで所有者が代替わりし、当時の事情を知っている方がいなくなっていることも珍しくありません。私自身、不動産の仕事をしている中で、「そんなこともあるのか」と思うようなケースを何度か経験しています。ある土地では、現地の利用状況と法務局に備えられている資料があまりにも違っていました。「これはどういうことだろう?」と確認していくと、先代の所有者同士で土地を交換して利用していたことが分かりました。長い年月が経ち、現在の所有者様には、その経緯が十分に引き継がれていなかったのです。また、買主様側の仲介をさせていただいた時のことです。購入を検討されている土地について、法務局に備えられている資料の寸法をもとに現地を確認してみました。すると、それまで境界だと思われていた場所とは大きく異なり、購入予定地の内側に境界が位置している可能性があることが分かりました。購入してから分かっていたら、大きな問題になっていたかもしれません。そして、もう一つ印象に残っているケースがあります。代々受け継がれてきた土地を売却することになった際のことです。過去に分筆した経緯も特になく、所有者様も登記されている面積と大きな違いはないと思われていました。ところが、実際に測量してみると、登記されている面積と現況で約60坪もの差がありました。もちろん、すべての土地でこのようなことが起こるわけではありません。ただ、土地は何十年、場合によっては何世代にもわたって受け継がれていくものです。その長い年月の中では、現在の所有者様も知らない事情が残っていることがあります。だからこそ私は、「今まで何も問題がなかったから大丈夫」だけで判断しないことも大切だと、実際の取引を通じて感じています。現地で境界杭を見つけると、「ここが境界なんだな」と思いますよね。もちろん、境界を確認するうえで大切な手掛かりになります。ただ、私たち不動産会社が境界杭だけを見て、「ここが間違いなく境界です」と判断できるものではありません。必要に応じて、法務局に備えられている地図や地積測量図などの資料を確認したり、土地家屋調査士に調査や測量を依頼したりしながら確認していきます。また、昔からあるブロック塀やフェンスについても、必ずしもその中心や端が境界とは限りません。「昔からここにあるから」だけでは判断できないこともあります。ここまで読むと、「そもそも、土地を売るときに境界は確認しないの?」と思われるかもしれません。私たちが使用する売買契約書にも、**「境界の明示」**という条項があります。第4条には、売主は、買主に本物件引渡しのときまでに、隣地との境界を現地において明示する。と定められています。簡単に言えば、売主様から買主様へ、「今回売買する土地は、現地ではここからここまでです」と示していただくということです。ただ、ここで大切なのが、「境界を明示すること」と「確定測量をすること」は、必ずしも同じではないという点です。境界標がきちんと残っており、過去の測量資料などから確認できる土地もあれば、境界標が見当たらず、現地と資料を見比べても判断が難しい土地もあります。そのような場合には、土地家屋調査士に相談し、測量や隣接地所有者との立会いが必要になることもあります。だからこそ、土地の売却をご相談いただいた際には、「境界標は残っているか」「過去の測量資料はあるか」「現地の利用状況と資料に違和感はないか」といったことを、早い段階で確認しておくことが大切だと考えています。「売却するときは、必ず測量するの?」これもよくあるご質問です。私としては、「できることなら、境界はきちんと確認しておくに越したことはない」と考えています。ただし、すべての不動産売買で必ず確定測量をしなければならない、というわけではありません。土地の状況や過去の測量資料、売主様・買主様のご意向、売買条件などによって対応は変わります。測量には費用もかかります。また、隣接地の所有者様との立会いなどで時間が必要になる場合もあります。だからこそ、「売るなら、とりあえず測量しましょう」ではなく、まず現在の状況や資料を確認して、その土地にどこまでの確認が必要なのかを考えることが大切だと思っています。境界を確認する理由は、単に土地の面積を知るためだけではありません。売却したあとになって、「このブロックはどちらの土地にあるの?」「フェンスの位置が境界と違うのでは?」「隣の建物や樹木が越境しているのでは?」という話が出てくれば、買主様だけでなく、隣地の方とのトラブルにつながる可能性もあります。境界の確認は、売主様のためだけでも、買主様のためだけでもありません。売主様と買主様の双方が「ここからここまでの土地を売買した」と納得して取引を終えるために大切なことだと思っています。だからこそ、分かることは、できるだけ分かる状態にして引き渡す。それが安心できる不動産取引につながると考えています。地元不動産会社の想い不動産の仕事をしていると、「そんなところまで確認するんですか?」と言われることがあります。でも、不動産は売って終わりではありません。買主様は、その土地でこれから何年、何十年と生活されます。そして、隣地の方とのお付き合いも、その後ずっと続いていきます。だからこそ、「今まで問題がなかったから大丈夫」ではなく、一度確認してみる。その結果、「特に問題ありませんでした」で終わるなら、それが一番です。もし何か分かったのであれば、売却する前だからこそ整理できることもあります。境界杭が見つからない。昔からあるブロック塀が境界なのか分からない。登記されている面積と実際の土地が合っているのか気になる。測量した方が良いのか分からない。そんな段階でも大丈夫です。まずは現在の状況を一緒に確認するところから、お気軽にご相談ください。